ケイゴ君の父親(サトウ・カツミ)、未だ連絡せず

北部ピチット県で、タイ人の母親と死に別れた小学校4年のサトウ・ケイゴ君(9)が1枚の写真を頼りに日本人の父親、サトウ・カツミさんを探していることがタイと日本のマスコミに大きく取り上げられていたが、16日、ケイゴ君はピチット県庁から父親が見つかったとの連絡を受けた。

その時、ケイゴ君はうれしさのあまり、身体を振るわせて号泣したという。

同県のソムチャイ県知事によれば、在タイ日本大使館よりケイゴ君の叔母、パタマさんに、父親が見つかり連絡も可能、との連絡が入ったという。さらに、カツミさんが同大使館を通じて、今、来タイすることができないため、ケイゴ君にバンコクに出てきてもらい、そこで国際電話を通じて話をしたい旨を伝えてきたとのことだ。

これに対して、同県知事は、「できれば直接、ピチット県に電話をかけてきてほしい。そのために、モニターに映る顔をお互いに見ながら話ができるようビデオ会議室と通訳を準備する。ただ、可能なら今すぐに来タイしてほしい」と話した。

一方、ケイゴ君の叔母、パタマさんによれば、「カツミさんがタイに来ることができないことを知ってから、ケイゴは、『父さんは僕のことを愛していない』といって泣いており、誰とも口をきこうとしない」とのことだ。

「私たちは何もいらない。ケイゴの小さい時から愛情をもって養育してきた。ケイゴが父親を捜してきたのは、他の子どもと同じように父親がほしかっただけ。カツミさんには1バーツたりとも要求しようと思わない。ケイゴに顔をみせ、そして抱いてほしいだけ」とパタマさん。

ケイゴ君も、「父さんがタイに来てくれないことを知って、残念でたまらない。お父さんにぜひ、伝えてほしい。『僕はずっとお父さんのことが恋しかった。お父さんを愛している』と。僕はなにもいらない。ただ、お父さんを抱きたいだけ」と涙を流しながら語った。さらに、「僕はお父さんがほしい。そうすれば、学校のみんなから、『親なし子』とからかわれることもなくなる」とも話していた。

翌17日も父親と話をすることができなかったことから、叔母のパタマさんによれば、「ケイゴは食事をせず、夜も眠れず、頭痛を訴え、『父さんは僕を愛していないから、タイに来てくれない。僕は父さんに捨てられた』と話している」とのことだ。

このため、ピチット県を選挙区とするサナン副首相は、県知事に対して、可能な限りケイゴ君を支援するよう指示。さらに、在タイ日本大使館と協力して、一刻も早く親子の対面が実現するよう命じた。

同副首相は、「カツミさんは必ずタイに来ると信じている。それまでは、我々、ピチット県人がケイゴ君の面倒をみる」とコメント。

ピチット県人会では、ケイゴ君に対して、毎年1万バーツの奨学金を大学を卒業するまで、もしくは父親と日本でいっしょに住むことになるまで支給することを決定した。

なお、18日は始業式でケイゴ君も通学し、クラスの友人に会ったことで、すこし笑顔が戻ってきたという。なお、ケイゴ君のクラスは1組。この組は勉強の一番できる子が集まるクラスとのことだ。